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サーバーの種類を理解する:特徴と最適な使用例



サーバーの選択は、ITプロジェクトの成功に不可欠です。さまざまな種類のサーバーがあり、それぞれ異なる特性を持っています。


この記事では、それぞれのサーバーの特性と、メリットデメリット、どのようなケースで選択されているのかまとめました。



レンタルサーバー (共有ホスティング)

特徴

「レンタルサーバー」または「共有ホスティング」は、多数のユーザーが1つのサーバーのリソースを共用する形態です。

特定のサービスプロバイダーから、定められたリソース(ディスク容量、帯域幅など)を借りる形となります。

メリット

  • 手軽さ: 初期設定や運用が容易で、特別な知識が不要。
  • 低コスト: 低価格でスタートが可能。高額な初期投資が不要。
  • サポート:プロバイダーのサポートが受けられる。

デメリット

  • リソースの制限:他のユーザーとリソースを共有しているため、パフォーマンスに制約が出ることがある。
  • カスタマイズの制約: 独自のソフトウェアのインストールや設定変更に制限がある。

最適なケース

初めてのウェブサイトや個人のブログ、小規模なオンラインビジネス向け。

技術的な背景や深い知識がないユーザーに適しています。

主要な提供企業:

Xserver レンタルサーバー さくらのレンタルサーバ


VPS (Virtual Private Server)

特徴

「VPS」は1つの物理サーバーを複数の仮想サーバーに分割し、ユーザーに専用のリソースを提供する形態です。

実際には他のユーザーと同じ物理サーバー上にいますが、仮想化技術によって各ユーザーは独立したサーバーとして利用できます。

メリット

  • コストパフォーマンス: 専用サーバーに近い性能を、より低いコストで享受できる。
  • カスタマイズの自由度: オペレーティングシステムやソフトウェアの選択、設定変更が可能。
  • リソースの保証:他のユーザーの影響を受けにくい。

デメリット

  • 運用の必要性: レンタルサーバーに比べると、より多くの技術的知識や運用が必要。
  • 物理サーバーの影響:下層の物理サーバーに問題が発生すると影響を受ける可能性がある。

最適なケース

中規模のウェブサイトやアプリケーション、特定の設定やソフトウェアの要件があるプロジェクトに適しています。

主要な提供企業:

Xserver VPS さくらのVPS


クラウドサービス

特徴

クラウドサービスは、インターネットを通じてリモートのサーバー群から提供されるIT関連サービスの総称です。

これには、インフラストラクチャ(IaaS)、プラットフォーム(PaaS)、などの多様なサービスカテゴリが含まれます。

メリット

  • 柔軟性: 必要に応じてリソースを追加・削減することが可能。
  • コスト削減: 大きな初期投資や過剰なインフラストラクチャへの投資を回避できる。
  • 最新のテクノロジー:サービスプロバイダーが維持・アップデートを行うため、常に最新の技術を利用できる。
  • アクセスの容易さ: インターネットが利用できる場所であれば、どこからでもサービスにアクセス可能。

デメリット

  • データの制御: クラウド上にデータが保存されるため、そのデータのプライバシーやセキュリティに関する懸念が生まれることがある。
  • 依存性: クラウドサービスの提供者がサービスを停止した場合、ビジネスに影響が出る可能性がある。
  • 費用: 長期的に見ると、クラウドサービスのコストが高くなる場合もある。

最適なケース

スタートアップや中小企業のように、急速に変化するビジネスニーズや、大きな初期投資を避けたい企業、リモートワークや分散チームのサポートが必要な組織に適しています。

主要な提供企業:

Amazon Web Services (AWS) Microsoft AzureGoogle Cloud Platform (GCP)


専用サーバー

特徴

専用サーバーは、ユーザーが一つの物理サーバー全体を独占(専用にレンタル)して使用するホスティング形態です。

他のユーザーとリソースを共有しないため、パフォーマンスやセキュリティが保証されます。

メリット

  • 高いパフォーマンス: リソースを独占するため、一貫した高いパフォーマンスを得られます。
  • セキュリティ: 他のユーザーとのリソース共有がないため、セキュリティリスクが低い。
  • カスタマイズの自由度: サーバーの設定やソフトウェアのインストールに柔軟性があります。

デメリット

  • コスト: 専用のリソースのため、費用が高めになることがあります。
  • メンテナンス: サーバーの管理やメンテナンスが必要な場合があります。

最適なケース

大規模なWebサイトやアプリケーション、セキュリティが特に重要なデータを扱う企業や、特定の設定やソフトウェアのインストールが必要な場合に適しています。


マネージドサーバー

特徴

マネージドサーバーは、サーバーはレンタル形態で提供され、ホスティングプロバイダがサーバーの日常の運用やメンテナンス、セキュリティアップデートなどの管理を代行するサービスです。

メリット

  • 手間いらず: サーバーの専門知識がなくても、安心して使用できます。
  • 高いセキュリティ: プロバイダがセキュリティの最適化やアップデートを行います。
  • サポート: 専門家によるサポートが利用できるため、問題が発生した場合も迅速に対応可能です。

デメリット

  • コスト: マネージドサービスのため、費用が高くなることがあります。
  • カスタマイズの制限: プロバイダが提供する範囲内でのカスタマイズとなるため、自由度は若干低くなる可能性があります。

最適なケース

サーバーの運用やメンテナンスに関する専門知識が少ない、またはそれらに時間をかけたくない企業や個人に適しています。

セキュリティやパフォーマンスの最適化をプロフェッショナルに任せたい場合にもおすすめです。

コロケーション

特徴

コロケーションは、企業や個人が自身のサーバーや通信機器を専用のデータセンターに設置し、その施設の冷却、電源、物理的セキュリティ、そしてインターネット接続などのインフラを利用するサービスです。

メリット

  • 高い信頼性: データセンターは停電や災害に対する対策が整っており、24時間の運用が可能です。
  • 高速なインターネット接続: データセンターは大容量の帯域幅を持っており、迅速なデータ転送が可能です。
  • 物理的セキュリティ: 高度なセキュリティ設備とスタッフによる監視があります。

デメリット

  • 初期投資: 自社のサーバーや機器を購入する必要があります。
  • 遠隔地の管理: データセンターが遠隔地にある場合、物理的なアクセスやメンテナンスが困難になることがあります。
  • コスト: 施設の利用料や関連サービスの費用がかかります。

最適なケース

自社のサーバーや機器を保有しているが、高品質なデータセンターのインフラを利用して運用したい企業や、大量のデータ転送や高い可用性が求められる事業者に適しています。


オンプレミス (On-Premises)

特徴

「オンプレミス」は、組織が自社の場所(オフィスや専用のデータセンターなど)にITインフラストラクチャを設置・運用する形態を指します。

これには、サーバーやストレージ、ネットワーク機器などが含まれます。

オンプレミスの最大の特徴は、外部のサービスプロバイダーに頼らず、全ての設備やデータを自社で完全に管理・制御することができる点です。

メリット

  • データのセキュリティ: データは自社の施設内に保存されるため、外部へのアクセスやデータ漏洩のリスクを低減できます。
  • カスタマイズの自由度: 独自の要件に合わせてハードウェアやソフトウェアを自由に選択・構成することが可能です。
  • 一時的なコストの節約: クラウドサービスのような月額・年額の継続的な費用は発生しません(ただし、初期投資や運用コストは必要です)。

デメリット

  • 初期投資が高い: サーバーやネットワーク機器、冷却システムなどの導入に大きなコストがかかる場合があります。
  • 運用の負担: システムのアップデート、セキュリティ対策、障害対応など、全ての運用管理が自社の責任となります。
  • スケーラビリティ: 需要が増えた際の拡張性に制限がある場合があり、新しい設備の追加や構築が必要になることもあります。

最適なケース

セキュリティが非常に重要であり、データの取り扱いやアクセス制御に厳しい要件がある組織や、特定の技術スタックや設定を用いたいと考える企業。

また、自社で十分なITリソースやノウハウを持っている組織に適しています。


最後に

サーバー選択においては、プロジェクトの目的と要件を明確にし、それに合ったサーバーの形態を検討することが重要です。

適切な選択をするためには、プロジェクトの規模、予算、技術力などを総合的に考慮することが求められます。